改訂新版 世界大百科事典 「もやし」の意味・わかりやすい解説
もやし
萌,蘖と書く。《和名抄》では〈蘖〉を〈よねのもやし〉と読み,別に〈むぎのもやし〉があるとする。前者はひしお(醬)の類,後者は酒の醸造とともに薬用にも使用された。現在,もやしというと,アズキ,緑豆(りよくず),ブラックマッペ,ダイズ,ときとしてダイコン,アルファルファ,ソバを暗所で,高温・多湿の条件で白化させながら発芽させた一種の野菜をさす。通常のもやしは緑豆またはブラックマッペを用いる。ダイズもやしは普通のもやしより大きく,やや固い。豆を十分吸水させ,暗所で排水のよい砂上で27~30℃の温度で発芽させる。毎日2度ほど温水を注ぐと数日で食用となる。おもな成分はタンパク質2.0~5.4%,カルシウム17~33mg%,ビタミンB10.04~0.13mg%,ビタミンC8~16mg%で,ほかに見るべき成分はない。ふつう炒め物として用いるが,生食する場合は酢であえると特有のにおいが抑えられる。ダイズもやしは韓国,中国料理に多く用いられる。現在カイワレと呼んで多く出回っているダイコンもやしは,かつてはカイワリナ(貝割菜)と呼び,双葉のものを間引いたものであった。特有の辛みがあり,これを生かして生食とする。
執筆者:菅原 龍幸+鈴木 晋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報