もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)(読み)もやもやびょうういりすどうみゃくりんへいそくしょう(英語表記)Cerebrovascular Moyamoya Disease

家庭医学館 の解説

もやもやびょうういりすどうみゃくりんへいそくしょう【もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症) Cerebrovascular Moyamoya Disease】

[どんな病気か]
 日本人に多い原因不明の脳血管の病気です。脳血管撮影を行なうと、脳底部(のうていぶ)の動脈が細くなっていたり、つまっていたりして、もやもやとした異常な血管網が映ることからこの病名がついています。
 厚労省の特定疾患(とくていしっかん)(難病(なんびょう))に指定され、治療費は公費から補助されます。
[症状]
 5歳前後で発症する若年型では、突然、手や足に力が入らなくなる脱力発作(だつりょくほっさ)、言語障害、意識障害、けいれんがおこります。
 これは、動脈が細くなっていて、脳に十分な量の血液が流れなくなるためにおこる症状(脳虚血発作(のうきょけつほっさ))です。自然におさまることが多いのですが、くり返し発作をおこしているうちに、脳梗塞(のうこうそく)(「脳梗塞(脳軟化症)」)がおこり、精神や知能の障害、四肢(しし)まひ、言語障害、全盲(ぜんもう)などの後遺症(こういしょう)が残ることがあります。
 30~40歳代を中心に発症する成人型のうち、3分の2は、突然の頭痛、嘔吐(おうと)、意識障害などの脳内出血(のうないしゅっけつ)や脳室内出血(のうしつないしゅっけつ)などの症状で発症します。残り3分の1は、若年型と同様、脳虚血発作の症状で発症します。どちらも、症状の再発をくり返します。
[検査と診断]
 CTやMRI、脳波検査、脳循環測定(のうじゅんかんそくてい)などが行なわれますが、確実に診断するには、脳動脈に造影剤を注入してX線撮影する脳血管撮影や、MRIによる脳血管撮影が必要です。
[治療]
 原因がわからないので、まだ確実な治療法はありません。
 手や足に力が入らないなどの神経脱落症状がなければ、ふつうの生活が送れますが、けいれんをおこす可能性があるときは、長期間の抗けいれん薬服用が必要です。
 まひ、失語症(しつごしょう)(コラム「失語症とは」)などがおこった場合にはリハビリテーションが行なわれます。
 精神や知能にひどい障害が残った場合には、専門施設への入所も考えなければなりません。
●外科的治療
 頭蓋(ずがい)の外を流れている血液を脳内に導き、脳内を流れる血液の量を増やせば、脳虚血発作や出血を予防できるのではないかという考えから、いろいろな手術が工夫され、行なわれています。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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