るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―(読み)るろうにけんしんめいじけんかくろまんたん

知恵蔵 の解説

るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―

1994年から99年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載された和月伸宏原作のマンガ。「るろうに」とは「流浪人」を意味する作者の造語。主人公は流浪人の緋村剣心(ひむらけんしん)で、幕末から明治初期の日本が舞台になっている。
緋村剣心は、明治維新動乱の中、「人斬り抜刀斎」と呼ばれた伝説の志士だったが、江戸から明治に変わると同時に忽然(こつぜん)と姿を消してしまう。消息を絶ってから10年後、再び世間に現れた彼は、「殺さず」の誓いを立てており、「緋村抜刀斎」の名を捨てていた。「緋村剣心」として、人を斬ることができない「逆刃刀」をふるう彼は、女剣士・神谷薫が師範代を務める東京の神谷活心流の神谷道場に居候しながら、多くの仲間とともに宿敵と戦い、弱い立場の人々や新しい時代を守ろうとする。登場人物には、神谷道場の門下生で孤児の明神弥彦や、赤報隊出身の相楽左之助、元・会津藩名医の娘・高荷恵、隠密御庭番衆の孫娘・巻町操などがいる。東京だけでなく京都も舞台になり、赤報隊や新撰組など幕末から維新の頃の実際の出来事が織り交ぜられている。
連載当初の読者層は中高生が中心だったが、次第に様々な世代へ人気が広まり、96年1月からはフジテレビ系全国ネットでアニメ放送が開始される。97年12月には劇場版映画「維新志士への鎮魂歌(レクイエム)」も公開された。また「週刊少年ジャンプ」での連載が終了後は、集英社から全28巻のジャンプコミックス『るろうに剣心・明治剣客浪漫譚』が発売され、累計発行部数は5000万部を突破。他にも、全22巻のジャンプコミックス『るろうに剣心・明治剣客浪漫譚・完全版』や公式ガイドブックなどが発売された。更に登場人物のフィギュアなどオリジナルグッズも人気を集めている。
また、2011年6月には、実写版の映画の製作が発表された。監督は10年に放映されたNHK大河ドラマ「龍馬伝」を手がけた大友啓史監督、主役の剣心役には俳優の佐藤健が抜擢(ばってき)された。「龍馬伝」で岡田以蔵役を好演した佐藤に、監督や松橋真三プロデューサーが注目、原作者の和月氏も「彼しかいない」と絶賛したという。女医・高荷恵役を蒼井優、相楽左之助役を青木崇高など、他に「龍馬伝」に登場したメンバーも出演が決まっている。神谷薫を武井咲、剣心のライバル斎藤一を江口洋介、鵜堂刃衛を吉川晃司、武田観柳を香川照之が演じることも発表された。撮影は11年7月から始まり、12年夏公開予定。

(金廻寿美子  ライター / 2011年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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