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目の病気
出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
ギリシア語のadēn-(腺),-eidos(のような)に由来する語で,一般に鼻とのどの移行部に当たる上咽頭あるいは鼻咽腔にあるリンパ組織咽頭扁桃を指していうが,咽頭扁桃がたび重なる炎症あるいは体質的素因により,はれて大きくなる腺様増殖adenoids(またはadenoid vegetation)を指していうこともある。アデノイドは,扁桃としては口蓋扁桃に次いで大きく,生後増殖を続け,4~5歳で最も大きく,その後徐々に小さくなり,思春期で痕跡状態となってしまう。他の扁桃と同じく免疫機能を有する。しかし風邪などたび重なる炎症により増殖を続けると,鼻の後部を閉鎖し,呼吸障害をおこすので,鼻づまり,鼻たらし,口呼吸,いびき,頭重感,食欲不振,精神の不安定,注意不能などをきたす。ひどくなると,アデノイド顔貌という,しまりのないぼけっとした表情の顔になる。また上咽頭には中耳腔に通じる耳管の開口があるので,耳管が圧迫されることにより,中耳腔の気圧調整不能となり,難聴の大きな原因となる。また,これが原因で,子どもに多い滲出性中耳炎をおこす。学童の場合,成績が低下するので影響は大きい。この程度になるとアデノイド切除術をしなければいけないが,術後の出血には注意すべきである。アデノイド切除術は,単に呼吸をよくするだけでなく,腎炎やリウマチなど他の病気の病巣を除去するという意味において有意義である。なお思春期に多い鼻咽腔繊維腫とは区別しなければいけない。
→中耳炎
執筆者:中山 将太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
咽頭扁桃(いんとうへんとう)の同意語。語源はギリシア語で「腺(せん)様の」という意で、咽頭扁桃の外観が腺様であることに由来する。咽頭扁桃が病的に肥大した状態をアデノイド増殖症、咽頭扁桃肥大症、あるいは腺様増殖症というが、いずれも同じものであり、このような状態をアデノイドと略称することも多い。咽頭の周囲には、リンパ組織の集団である扁桃やリンパ瀘胞(ろほう)が数多くあるが、咽頭扁桃もその一つで、咽頭の上方、鼻の後方に存在する。
アデノイドは3~4歳ごろから肥大し、6~7歳ごろには最大となるが、その後はしだいに小さくなり、思春期以後ではほとんど痕跡(こんせき)程度になる。口蓋(こうがい)扁桃肥大とともにみられることが多い。病的に肥大すると、鼻が詰まって口で呼吸するようになり、いびきをかいたり睡眠不足になるほか、発育も悪くなり、注意力が散漫になることが多く、歯列も不正となるなど、一見特異な顔つきにみえることもある。このような顔つきをアデノイド顔貌(がんぼう)という。咽頭扁桃の近くには、中耳(ちゅうじ)と咽頭を連結する耳管が開口しており、アデノイドが耳管を圧迫すると耳管狭窄(きょうさく)を併発し、耳の聞こえが悪くなることも多い。またアデノイドは細菌感染をおこしやすく、その細菌が耳管から中耳に侵入して中耳炎をおこすことも多い。その他の合併症としては、慢性鼻炎、副鼻腔(ふくびくう)炎、歯ぎしり、夜尿症、鳩胸(はとむね)などがある。
治療は手術的に切除するアデノイド切除術がもっともよい。病原菌のために急性炎症をおこしているときには抗生物質が効果を示すが、その他の場合には薬物治療の効果はまったくない。肥大が軽度であれば、医師の監視下で合併症などに注意しながら経過をみていると、年齢とともにしだいに縮小し、手術を行わなくても治癒することもある。
[河村正三]
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[上咽頭]
鼻腔に続く口蓋のレベルより上の部分を鼻咽腔あるいは上咽頭といい,中耳腔に通じる耳管の開口部がある。子どもの場合,ここにアデノイドがあり,アデノイドが増殖すると耳管を圧迫して狭窄をおこし,難聴の原因となる。また風邪などで鼻炎,扁桃炎に引き続き上咽頭炎をおこすと,炎症が耳管,中耳に波及して中耳炎をおこす。…
※「アデノイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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