アニス(読み)あにす(英語表記)anise

翻訳|anise

デジタル大辞泉 「アニス」の意味・読み・例文・類語

アニス(anise)

セリ科一年草。5月ごろ白い小花をつける。実は卵形をし、灰色または黄褐色で、ソースや製菓用の香辛料に利用。ギリシャエジプトの原産で、地中海地方で栽培される。

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精選版 日本国語大辞典 「アニス」の意味・読み・例文・類語

アニス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] anise ) セリ科の一年草。ギリシア、エジプト原産で、地中海地方に広く栽培される。高さ約六〇センチメートル。夏、黄色みを帯びた白い花がまばらに集まって咲く。実は長さ約五ミリメートルの扁平な卵形で、揮発性のアニス油を含有し、薬用とするほか粉末にして香料とする。〔薬品名彙(1873)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アニス」の意味・わかりやすい解説

アニス
あにす
anise
[学] Pimpinella anisum L.

セリ科(APG分類:セリ科)の一年草。原産地はギリシアからエジプト、オリエントにかけての地域。日本には明治初期に渡来し、いまも少量だが栽培されている。根生葉はやや丸みのある三角形で縁に切れ込みが多く葉柄は長い。夏に茎が高さ50センチメートルほどに伸び、茎につく葉はミツバ形となる。茎の上部で枝分れをして、白色の小花を多数つける。果実は卵形でやや扁平(へんぺい)、長さ5ミリメートルほどで、褐色地に白い縦筋が入る。種子(果実)がアニシードaniseedである。

星川清親 2021年11月17日]

利用

古代ギリシア時代から薬草として知られ、漢方では果実は健胃、駆風(くふう)(腸内ガスの排出)、去痰(きょたん)、催乳の薬とされる。

 香辛料としては、小さな果実を脱穀したアニシードを使っている。アニシードはクッキーやケーキ、キャンディー、パンやソーセージなどの香味づけに使われ、各種のスープにも用いられる。アニシードやその精油(アニスオイル)はアルコール飲料、たとえばアニゼットなどのリキュール、トルコの蒸留酒ラキ(ラク)などの香りづけにも使われる。葉もよい香りがあり、スープやサラダハーブ・ティーなどに用いられる。アニス特有の芳香と甘味の主成分はアネトールで、アニシードにもっとも多く含まれる。

[河野友美・山口米子・齋藤 浩 2021年11月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「アニス」の意味・わかりやすい解説

アニス
anise
Pimpinella anisum L.

種子をアニス実(じつ)aniseedと呼び,古くから香辛料として有名なセリ科の一年草。ギリシアからエジプト,オリエント地域が原産で,ギリシア時代にはおもに薬草として使われた。日本には明治初期に渡来し,今も少量だが栽培されている。根ぎわから出る葉はやや丸みのある三角形で,縁に切り込みが多く,長い柄がある。夏に茎が伸び高さが50cmほどになり,先が枝分れをして白色の小花を多数つける。茎の上部の葉はミツバ形となる。果実は2個の分果からなりやや扁平な卵形で,長さは5mm程度,縦に白い筋がはいり,褐色に熟す。種子(果実)は,香辛料として広く用いられ,丸のままパンやビスケットに入れるほか,スープなどにも使う。甘いリキュールのアニゼットの香り付けにも用いる。薬用としての歴史も古く,健胃,駆風,去痰,催乳の薬とされる。種子からアニス油を採り,医薬品や化粧品に使う。若い葉もハーブ(香草)として使われる。
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食の医学館 「アニス」の解説

アニス

古代エジプトでは利尿剤や胃腸薬に使われていたスパイス。
 リキュールの素材としてもポピュラーです。
 アニスには消化促進、健胃、駆風(くふう)(腸管内にたまったガスの排除)、鎮痛、去痰(きょたん)といった作用があります。
 具体的症状としては、消化不良、腹部膨満、胃弱、胃けいれん、生理痛、ぜんそく、気管支炎などに有効です。
 ただ、妊娠中の女性は、調味料として使うレベルを超えて、多量に摂取するのは避けてください。
○食品としての使い方
 アニスは甘い香りに富むうえ、にがみや辛みがないので、ケーキやクッキーなどの焼き菓子によく使われます。
 また、香りのやわらかな葉は、サラダや料理の香り付けに使うといいでしょう。

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百科事典マイペディア 「アニス」の意味・わかりやすい解説

アニス

ギリシア〜西アジア原産のセリ科の一年草。温帯諸国で栽培される。高さ約50cm,茎は直立し,葉は互生,上部では対生。5月ごろ開花。果実はアニス実と称し香料,薬用に,アニス油はソース,リキュールおよび製菓用の香味料に使用。
→関連項目アニゼット

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栄養・生化学辞典 「アニス」の解説

アニス

 [Pimpinella anisum].南欧原産のセリ目セリ科ミツバグサ属の一年草.実はアニシードとよばれ,油をとるほか,果梗を砕いて香辛料とする.リキュールの香料にも用いる.⇒アブサン

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