改訂新版 世界大百科事典 「アフリカスイギュウ」の意味・わかりやすい解説
アフリカスイギュウ
African buffalo
Cape buffalo
Synceros caffer
クロスイギュウともいう。アフリカ産の巨大な偶蹄目ウシ科の哺乳類。サハラ砂漠以南のアフリカにすむ。肩高1.4~1.7m,体長2.1~2.6m,体重500~800kg,ときに1200kgに達する。アジアスイギュウに似るが,角は左右の基部が接近,耳介が大きく縁に毛の房があり,背筋の毛は後ろへ向かう。角は雌雄とも巨大で,基部が太く初め後下方,次に後上方か内上方に曲がる。体は雌雄とも黒か黒褐色,白斑を欠く。低地から標高3000mまでのサバンナに30~60頭の群れですみ,夕方林を出,数km離れた水場で水を飲み,近くで草を食べる。多少は木の葉や枝も食べ,早朝林へ戻る。乾季には数百,数千の大群となる。妊娠期間300~330日,乾季の終りに1子を生む。成雄は気が荒く,天敵のライオンさえ追い払う。熱帯アフリカの森林に1対か小群ですむアカスイギュウS.nanus(英名forest buffalo)は小型で肩高1~1.4m,体重200~500kg,体は赤褐色,老雄はときに黒褐色になる。両者の中間型があるため亜種とされることがある。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報