アベル(Kjeld Abell)(読み)あべる(英語表記)Kjeld Abell

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アベル(Kjeld Abell)
あべる
Kjeld Abell
(1901―1961)

デンマーク劇作家。映画的手法などを取り入れた作劇術と、鋭い社会批判と風刺で、今日もっとも人気のある作家の一人。処女作『失われたメロディー』(1935)に、社会体制のなかで自分の好む音楽を捨てることを求められた平凡な市民の悲喜を描いて大成功を収め、『アンナ・ソフィ・ヘドウィー』(1935)、ドイツ軍進駐時代を描いた『シルケボア』(1946)などでファシズム台頭下の社会を批判し、『雲の上の日々』(1947)では神々の住む雲の上の世界を借りて原爆経験後の科学者の苦衷を描いた。中国旅行後に書いた『青い狆(ちん)』(1954)は、狆はまた北京(ペキン)人の意をもつように、象徴的な風刺劇で、彼の最高傑作とされる。

[山室 静]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android