アムリッツァル事件(読み)あむりっつぁるじけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アムリッツァル事件」の意味・わかりやすい解説

アムリッツァル事件
あむりっつぁるじけん

イギリスのインド統治史上悪名高い、軍隊によるインド市民虐殺事件。第一次世界大戦後の治安維持強化を図るイギリス・インド政庁は、「無政府主義的、革命的犯罪法」(ローラット法)を1919年3月に成立させた。インド人の全国的抗議行動が高まるなかで、4月6日、ガンディーの呼びかけでハルタール(全市罷業)が全国で実施された。同月13日、パンジャーブ州アムリッツァル市Amritsarのジャリアンワーラーバーグという空き地でも抗議集会が行われたが、そこにイギリス人代将ダイヤー率いる完全武装部隊が乱入し、約2万の市民に無差別発砲を加えて1500人以上の死傷者を出した。この直後、パンジャーブに戒厳令が敷かれ、国民会議派による調査も進むなかで事件の状況は全国へ伝わった。こうして高まる反英反帝国主義の波が、ガンディー指導下の1920年8月からの非暴力的非協力(サティヤーグラハ)運動を直接生み出した。一方イギリス本国では、ダイヤーに対して多額の寄金が一般市民から集められたという。

[内藤雅雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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