改訂新版 世界大百科事典 「アラカン」の意味・わかりやすい解説
アラカン[州]
Arakan
ミャンマー連邦に含まれる七つの州の一つ。現ラキン州。1973年の新憲法制定と同時に設置が認められた。行政的には17郡に細分され,州都シットゥエ以外に,主要都市としてチャウピュー,タンドゥエなどがある。バングラデシュとはナーフ川を隔てて隣接しているものの,ミャンマー中央部とはアラカン山脈によって切断されている。面積3万7000km2,人口248万(1994)。海岸線は640kmと長いが,平野部の幅は北部で150km,南部で24kmと狭い。ベンガル湾の北東に位置している関係で南西季節風の影響を受けやすく,年降水量も平均5000mmと多い。州の半分は森林で,農地は州面積の1/10にすぎないが,そのうち3200km2を水田が占める。主要産物は,米,豆類,落花生,海産魚など。住民は,仏教徒でビルマ語の方言を話す中部・南部居住のアラカン族と,ベンガルから移住してきた北部居住のイスラム教徒とからなる。
執筆者:大野 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報