アンタルキダスの条約(読み)あんたるきだすのじょうやく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンタルキダスの条約」の意味・わかりやすい解説

アンタルキダスの条約
あんたるきだすのじょうやく

紀元前386年にペルシアスパルタとの間で結ばれた条約。条約締結の使者アンタルキダスAntalkidasの名をとってこうよばれるが、またペルシア大王の主導のもとに結ばれた条約という意味で「大王の和約」ともいう。ペロポネソス戦争後ギリシア覇権を握ったスパルタは、前4世紀の初頭、小アジア進出をめぐってペルシアと戦うに至った。この機にペルシアの軍資金を得たテーベがスパルタに反抗し、アテネコリントもこれに続いた(コリント戦争)。覇権維持に困難を感じたスパルタは、外交家アンタルキダスをペルシアに派遣し、ふたたびアテネの動きを警戒し始めていたアルタクセルクセス2世を説いて、講和し、同盟を結んだ。この条約は、小アジアのギリシア都市およびキプロスはペルシア王に属し、他のギリシア都市はすべて自治独立であることを規定した。スパルタはこの条約を全ギリシアに強制して、各国の自治独立を口実に他国間の同盟結成を防止し、前371年テーベに敗れるまで、ギリシアにおけるその覇権を維持した。

[篠崎三男]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アンタルキダスの条約」の解説

アンタルキダスの条約(アンタルキダスのじょうやく)
Antalkidas

前386年スパルタの将軍アンタルキダスがペルシア王の力を借りて成立させた,アケメネス朝ペルシアとギリシア諸市との間の条約。「大王の和約」とも呼ばれる。この条約によりコリント戦争が終結し,アナトリアのギリシア人諸市はペルシアの支配下に入った。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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