イスラエル音楽(読み)イスラエルおんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イスラエル音楽」の意味・わかりやすい解説

イスラエル音楽
イスラエルおんがく

紀元 70年ローマに滅ぼされ世界に離散する前のヘブライ人の音楽を,世界各地のユダヤ教会 (シナゴーグ) で伝承した礼拝朗唱 (旧約聖書の『詩篇』など) を中心とする。民謡にも独自な旋律をもつ。礼拝の朗唱では,アラビア半島イエメンのユダヤ人は古くから隔絶されていて,その古い形を保存しているが,ユダヤ人独自の宗教音楽であるシナゴーグ以外の音楽は,他民族のなかで融和してしまったので,イスラエルの音楽としては新しい音楽に特色を示しつつある。なお,イスラム教徒がユダヤ人に楽器を持つことを禁じたため,宗教音楽だけでなく民謡にも楽器が使われなかった。近代,古代ヘブライ音楽の研究,復活と並行して,ユダヤの伝統を生かした現代音楽の作曲が盛んであるのは,根強いシオニズムの現れである。

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