化学辞典 第2版 「イノシトールリン脂質」の解説
イノシトールリン脂質
イノシトールリンシシツ
inositol phospholipid
リン脂質の親水部にイノシトールまたはその誘導体を有するもの.細胞膜を構成するリン脂質のうちでは微量成分であるが,情報伝達系において重要な役割を果たしている.たとえば,ある種の膜7回貫通型受容体がホルモン刺激を受け,それに伴ってGタンパク質(Gq)経由でホスホリパーゼC-βが活性化されると,リン脂質二重層の細胞質側に存在するイノシトールリン脂質の一種phosphatidylinositol 4,5-bis(dihydrogenphosphate)からイノシトールトリス(リン酸二水素)(IP3;inositol 1,4,5-tris(dihydrogenphosphate))が切り出される.IP3はセカンドメッセンジャーとして細胞内に情報を伝える.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報