日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
イワーノフ(Vyacheslav Ivanovich Ivanov)
いわーのふ
Вячеслав Иванович Иванов/Vyacheslav Ivanovich Ivanov
(1866―1949)
ロシアの詩人、劇作家、文芸批評家。モスクワ大学、ベルリン大学で古典学を学び、ニーチェの影響のもとに古代の宗教・演劇の研究と詩作に没入し長く西欧にとどまった。詩集『導きの星』(1903)、『透明』(1904)やディオニソス宗教の研究『ギリシアの苦悩する神の宗教』(1904~05)で名声を得て帰国、悲劇『タンタロス』(1905)、詩集『熱き心』(1911~12)や数多くの文芸批評を発表し、ロシア象徴派の第二世代の中心的存在となった。「イワーノフの水曜会」とよばれた彼のサロンは首都の文壇の中心としてにぎわった。革命後も文化部門で活躍、バクー大学で古典学の教授から学長にまでなったが、1924年イタリアへ移住。その後も詩作と著作を続け、ロシアの精神の西欧における代表者として知られた。彼のドストエフスキー研究の成果は後代に大きな影響を与え、今日でも高い価値をもつ。
[安藤 厚]