インド・イスラーム文化

山川 世界史小辞典 改訂新版 「インド・イスラーム文化」の解説

インド・イスラーム文化(インド・イスラームぶんか)

デリー・サルタナット以降のインドでヒンドゥー文化等の影響を強く受けて生まれた独特のイスラーム文化。インド各地のイスラーム王国,さらにはヒンドゥー王国で,宮廷の保護下や民間で発展した。まず,タージ・マハル廟やファテープル・シークリーなど,ヒンドゥー様式を取り入れたイスラーム建築,インド的な題材・技法を取り入れた細密画(ミニアチュール),楽器や音階,歌詞にペルシアアラブの要素を取り入れた音楽がある。また,デリー・サルタナット時代のアミール・フスローらがペルシア語の詩や散文を発展させ,インド諸言語とペルシア語との間での作品の相互翻訳も盛んとなった。さらに11世紀頃から徐々に混成言語ウルドゥー語が発達し,16世紀以降,ウルドゥー文学がデカンや北インドで花開いた。宗教面では,スーフィー聖者の活動が,その墓廟への参拝など,ヒンドゥー教徒の尊崇を生み,また両宗教の影響を受けてカビールの思想やシク教も生まれた。イスラーム文化の影響は,製紙業や織布業など生活文化の面でもみられた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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