インミッション(読み)いんみっしょん(英語表記)Immission ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インミッション」の意味・わかりやすい解説

インミッション
いんみっしょん
Immission ドイツ語

煤煙(ばいえん)、悪臭騒音振動などの放散をいう。イギリス、アメリカではニューサンスnuisance、フランスでは近隣妨害trouble de voisinage、日本では生活妨害(その妨害が広範あるいは重大なものになった場合に公害とよばれる)とよばれる現象に対応するドイツ法上の概念である。インミッションは、一定の場合に損害賠償や差止(さしとめ)(停止)の対象となるが、その要件の定め方は国によって異なる。ドイツやスイスでは民法に直接の規定があるが、日本の場合には民法に直接の規定がなく、インミッションが受忍限度を超えた被害を与えると、不法行為法上違法となって損害賠償の対象となり、さらに人格権などを侵害するものとして差止の対象になる、と一般に解されている。なお大気汚染防止法および水質汚濁防止法は無過失損害賠償責任を定めている。

淡路剛久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android