イールド・マネジメント(読み)いーるどまねじめんと(英語表記)yield management

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イールド・マネジメント」の意味・わかりやすい解説

イールド・マネジメント
いーるどまねじめんと
yield management

航空事業やホテル事業などにおいてしばしばみられる、収益イールド)を増加させるための経営戦略の一つ。いかに空席空室を少なくして1円でも多く収入を上げるかが、企業の収益力向上の課題となっている。

 そのためには利用客の属性を把握して、その属性に応じて利用客ごとに異なる運賃や利用料金を課すことが最適な戦略として行われる。たとえば航空会社の場合は、早割や特割という割引制度を設けて割安な運賃を提供することで、価格に敏感な利用客を早めに確保して、収入ゼロとなる空席を回避し、ビジネス客などのような価格にこだわらないが出張直前に予約を入れるような利用客には、高めの料金を設定して収益を確保する。

 交通分野では、イールド・マネジメント規制緩和の進んだ航空運賃でいち早く導入されたが、その後、競争の激しくなった高速バスの運賃設定などにも導入されつつある。

[竹内健蔵]

『村上英樹他編著『航空の経済学』(2006・ミネルヴァ書房)』『竹内健蔵著『なぜタクシーは動かなくてもメーターが上がるのか――経済学でわかる交通の謎』(2013・NTT出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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