ウァルス(読み)うぁるす

世界大百科事典(旧版)内のウァルスの言及

【ゲルマン人】より

… こうしてローマの盛時といわれるアウグストゥス帝の時代に入ると,ローマはエルベ川とその支流モルダウ川から,ドナウ川を結ぶ線まで,帝国の境界を広げようとしばしば兵を出した結果,ライン,エルベ両川間のゲルマン諸族は,しばらくローマとゆるい従属関係を保ち,その間だけは大きな紛争はなかった。ところが後9年,ローマの総督ウァルスPublius Quintilius Varusが,トイトブルクの森で,ケルスキ族の長アルミニウスの軍の奇襲をうけて大敗を喫して以来(トイトブルクの戦),ローマは守勢に転ずることとなり,ライン川の中流からドナウ川の上流に達する三角地帯に長城(リメス)を築いて,ゲルマン人の侵入に備えることとなった。ローマはまたライン川左岸に下ゲルマニア,上ゲルマニアの二つの属州を設け(ゲルマニア),三角地帯のデクマテス地方に多数の城砦を築いたため,これらの地域にはローマ文化の影響が色濃く印せられた。…

【トイトブルクの戦】より

…後9年,エムス,ウェーザー両川間の〈トイトブルクの森Saltus Teutoburgiensis〉(正確な位置は不明)で,ケルスキ族の有力者アルミニウス指導下のゲルマン諸族が,冬営地へ移動中のローマの3軍団(指揮官ウァルスPublius Quinctilius Varus)を奇襲,全滅させた戦闘。ドルススの遠征(前12‐前9)以来,アウグストゥスが進めてきたライン川以東エルベ川に至る西ゲルマニア併合策はここに挫折,アルミニウスは〈ゲルマニアの解放者〉と称された。…

※「ウァルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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