経済用語で、世界から優秀な事業者が集まり、市場は活況を呈する一方で、元々その場にいた事業者が活躍できなくなること。ウィンブルドン効果、ウィンブルドン化ともいう。ロンドンで行われるウィンブルドンテニス大会になぞらえたことばである。テニスはもともとイギリスの発祥であり、1877年に第1回が行われたこの大会は、地元イギリスのアマチュア選手を対象としたものだった。ところが1968年にプロ選手の参加が認められて、賞金と栄誉を求めて世界中から強豪が参加するようになり、地元イギリスの優勝者が現れなくなった。
1980年代のサッチャー政権下、イギリスは徹底した規制緩和を実行することでロンドン・シティを世界の金融センターとして復興させることに成功する。しかし、その一方で地元ロンドンの金融機関は買収などにより淘汰(とうた)されてしまった。このことをさして、ウィンブルドン現象と皮肉るようになった。地元企業が排除されることを批判する意味合いで使用するケースもあるが、市場として発展を遂げることのほうが経済効果が大きいとして、肯定的にとらえる見方もある。
なお、テニス大会では、2013年に77年ぶりに男子シングルスでイギリス人選手、アンディ・マレーAndy Murray(1987― )が優勝した。
[編集部]
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