ウェルズ(Horace Wells)(読み)うぇるず(英語表記)Horace Wells

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウェルズ(Horace Wells)
うぇるず
Horace Wells
(1815―1848)

アメリカの歯科医。コネティカット州ハートフォードの開業医である。1844年12月10日、地方を巡業していた通俗講演者コルトンGardner Q. Colton(1814―1898)が亜酸化窒素(笑気)による麻酔を見せ物として実験しているのを見た。その翌日、ウェルズの診療所で、コルトンがウェルズに笑気ガスで麻酔をかけ、友人の歯科医リッグスJohn M. Riggs(1811―1885)がウェルズの智歯(ちし)を抜去して、麻酔作用を確認した。リッグスはのちに歯周炎の研究で知られた。ウェルズは無痛で抜歯した成功例を得て、ボストンに行き、マサチューセッツ病院の外科医ウォーレンJohn C. Warren(1778―1856)の前で試みたが失敗した。郷里に帰ってからも、笑気ガスによる抜歯は成功したが、患者の一人が麻酔のために死亡。引退したが、精神病となり自殺した。

[本間邦則]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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