ウシャブチ(読み)うしゃぶち(英語表記)ushabti

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウシャブチ」の意味・わかりやすい解説

ウシャブチ
うしゃぶち
ushabti

古代エジプトで、死者とともに墓室に副葬した小形の人形。古くはシャワブチshawabtiとよばれたが、のち古代エジプト語で「答えるもの」を意味するウシャブチ(あるいはウシェブチ)の名が一般的となった。その役目は、死者が冥界(めいかい)でオシリス神に命じられる労働を本人にかわってすることであり、木、石、または陶器でつくられ、まれに青銅製のものもあった。多くはミイラの形をし、しばしば下半身に『死者の書』第6章からの語句などが記されている。その使用は中王国時代に始まり、新王国時代にとくに広く行われた。初期にはただ1体を納めたが、のちその数を増し、一つのミイラに700体ものウシャブチが副葬された例が知られている。

友部 直]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android