改訂新版 世界大百科事典 「ウルツ」の意味・わかりやすい解説
ウルツ
Charles Adolphe Wurtz
生没年:1817-84
フランスの有機化学者。ストラスブールに生まれる。ルター派の牧師である父の跡を継がずに生地の大学の医学課程に進み,1843年学位を受ける。44年パリにでてソルボンヌ大学医学部のJ.B.A.デュマに認められる。45年にデュマの助手となり,49年に有機化学講師,53年に教授,66年に化学部長をつとめた。74年にはソルボンヌ大学からとくに有機化学のポストを与えられ,医学部より移り,81年アカデミー・デ・シアンスの会員となる。研究対象はリン酸塩化物,メチルアミンなど多方面にわたり,グリセリンの構造決定,ヨウ化メチルに金属ナトリウムを作用させてブタンを合成するウルツ反応の発見(1855)など,すぐれた業績をあげた。また《原子論》(1879)をはじめ多くの著作も残している。
執筆者:徳元 琴代
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報