エバネッセント波（読み）エバネッセントハ

化学辞典 第2版

エバネッセント波
エバネッセントハ
evanescent wave

光が高屈折率相から低屈折率相へ臨界角以上の入射角で入射し，全(内部)反射が起こるときに生じる特殊な電磁波のこと．その強度は低屈折率相側の界面から相内部への方向に指数関数的に減少する．低屈折率相において，強度が界面から1/eに減少するまでの距離は侵入の深さとよばれる．侵入の深さは二つの相の光学定数と入射角の関数であり，通常，波長の数分の1から数倍である．エバネッセント波を用いる分光法は減衰全反射法(ATR法)とよばれ，赤外線や可視・紫外線領域で，界面や表面に存在する化学種のスペクトルを測定するために利用される．

出典　森北出版「化学辞典（第2版）」

世界大百科事典（旧版）内のエバネッセント波の言及

【全反射】より

…　全反射をしている面の外側，すなわち屈折率の小さい媒質中には光がしみ出し，境界面に沿って伝わる。これをエバネッセント波という。この面の外側に光の波長程度の間隔を置いて屈折率の高い媒質を再び置けば，エバネッセント波を介して光は透過し，境界面での反射は全反射でなくなる。…

※「エバネッセント波」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」