エルゴメトリン

化学辞典 第2版 「エルゴメトリン」の解説

エルゴメトリン
エルゴメトリン
ergometrine

C19H23N3O2(325.39).エルゴノビンともいう.麦角アルカロイドの一つ.ほかの麦角アルカロイドと異なり水溶性である.無色の針状晶.融点162~163 ℃(分解).+90°(水).pKa 7.30±0.40.水,アルコール類,酢酸エチルアセトンに可溶,クロロホルムに難溶.塩酸塩は分解点245~246 ℃.+63°(水).作用エルゴタミンよりもやや弱い.マレイン酸塩を,分娩促進,産後出血防止に用いる.[CAS 60-79-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エルゴメトリン」の意味・わかりやすい解説

エルゴメトリン
ergometrine

エルゴノビンともいう。子宮収縮止血剤。麦角から抽出されるアルカロイドの一種で,子宮収縮作用が強い。子宮平滑筋に直接作用してすみやかに収縮させるが,その収縮は律動的で,持続性がある。他の麦角アルカロイドと異なって交感神経遮断作用はなく,毒性も低い。おもに分娩後,子宮の緊張が低下した状態に用いられる。子宮を収縮させると同時に胎盤剥離を容易にし,出血を減少させる作用もある。経口投与も可能である。悪心,吐き気めまい耳鳴りなどの副作用が起ることがある。マレイン酸エルゴメトリンはエルゴメトリンの半合成誘導体で,エルゴメトリンより強力な子宮収縮作用を有し,エルゴメトリンと同様の目的で使用される。副作用はほとんどない。

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栄養・生化学辞典 「エルゴメトリン」の解説

エルゴメトリン

 C19H23N3O2 (mw325.41).

 エルゴノビンともいう.麦角アルカロイドの成分でリゼルギン酸とL-β-アミノプロパノールとのアミド

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世界大百科事典(旧版)内のエルゴメトリンの言及

【子宮収縮薬】より

…脳下垂体後葉ホルモンのうちオキシトシンは,9個のアミノ酸からなるペプチドで,子宮収縮作用が強く(似た構造をもつバソプレシンは血圧上昇作用および抗利尿作用が強い),陣痛の弱いときに分娩促進薬として繁用される。麦角は,ライムギの根に寄生する子囊菌類麦角菌の菌核の乾燥体で,代表的な成分はエルゴタミンとエルゴメトリンである。子宮を収縮させ,その作用はエルゴメトリンが強い。…

【麦角】より

…ウシはウマよりも弱い。【寺中 理明】
[薬用]
 麦角はエルゴメトリンergometrine,エルゴタミンergotamine,エルゴトキシンergotoxineなどのアルカロイドを含む。これらは子宮とくに妊娠子宮を収縮させる作用がある。…

※「エルゴメトリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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