エレガンスセンチュウ(読み)えれがんすせんちゅう(その他表記)Caenorhabditis elegans

知恵蔵 「エレガンスセンチュウ」の解説

エレガンスセンチュウ

線虫類の1種。シーエレガンスともいう。線虫類は前後に長い円筒状ないし紐状の動物で、条虫回虫など寄生性のもののほか、土壌にすむものや水中を遊泳するものなど現在1500種以上が知られているが、まだ発見されていないものを含めれば総数は50万種を超えると考えられている。エレガンスセンチュウはそのなかでも、もっとも有名で、遺伝学・発生学などの実験材料として広く用いられている。土壌中にすむ体長1mmほどの小さな虫で寿命は約3週間。1個の卵細胞から、約1000個の細胞からなる成虫までの細胞分化系列が完全に記載されており、またゲノム解読も1998年に完了しており、約1万9000個の遺伝子をもつことがわかっている。このように細胞系列とゲノムの両方が知られている点で、ポスト・ゲノム時代のモデル動物としての意義は大きく、すでに寿命遺伝子の特定やその作用の解析が成果をあげている。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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