エレクトロニクス(英語表記)electronics

翻訳|electronics

デジタル大辞泉 「エレクトロニクス」の意味・読み・例文・類語

エレクトロニクス(electronics)

電子工学」に同じ。エレクトロニックス。

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精選版 日本国語大辞典 「エレクトロニクス」の意味・読み・例文・類語

エレクトロニクス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] electronics ) 電子によって起こる現象に関する理論、およびその応用に関する科学、技術の体系。電子工学。
    1. [初出の実例]「飛行機の修理、営繕、整備、機体、エンジン、電子機器(エレクトロニックス)レーダーなどをめぐる産業の復興」(出典:G・D・からの呼出状(1956)〈堀田善衛〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「エレクトロニクス」の意味・わかりやすい解説

エレクトロニクス
electronics

電子工学ともいう。トランジスター,電子管,レーザーなどのように電子のもつ運動エネルギー,位置エネルギーなどを利用して電気信号の発生,増幅,制御を行う素子,いわゆる電子デバイスを中心とする工学の一分野をエレクトロニクスと呼ぶ。電子デバイスそのものを対象とするばかりでなく,電子デバイスを利用した電子回路,それらを組み合わせた電子システムをも対象とする広い分野である。とくに1950年代前半までの真空管を対象とする電子管工業,その後真空管に代わるトランジスターなどを対象とする半導体工業の発展は目覚ましく,電気通信,テレビジョン,コンピューターと多くの応用分野を作り出している。エレクトロニクスの分野を大きく分類すると以下のように分けられる。

(1)基礎分野 電子デバイスの動作を解析し,さらに新しい原理のものを設計するには電磁気学量子力学統計力学などを基礎とし,さらに真空中や物質中での電子の微視的ふるまいや原子,電子により構成されている物質の性質を対象とする電子物性論などの学問分野を必要とする。また電子デバイスを利用する分野では,線形理論,統計学,確率過程論などを基礎とする回路理論,情報理論,制御理論,システム理論などの学問分野を必要とし,これらは互いに協力し合いエレクトロニクスの基礎を構成している。

(2)材料・プロセス分野 電子デバイスの材料を作り,それを電子デバイス加工するまでの技術を中心とする分野である。半導体素子の主材料はシリコン(ケイ素)であるが,このシリコンのきわめて高純度で完全性の高い単結晶を育成,切削,研磨,焼結,蒸着,フォトマスク,拡散,酸化など一連の加工プロセスを対象とする分野である。電子デバイスとして用いられる材料は,半導体材料だけでなく,きわめて広く気体,液体,固体にまたがり,電子管に用いられる真空も,その質を問われる広い意味での材料である。電流をよく流す導線から抵抗,コンデンサーインダクタンス,さらに能動素子など多くの電子デバイスの種類に対応して材料もきわめて多くの種類がある。

(3)電子デバイス・電子部品分野 電子デバイス,電子部品としては抵抗,コイル,コンデンサーなどの受動素子,トランジスター,サイリスター,レーザーなどの能動素子,ケーブルコネクター,プリント基板などの配線部品,さらにエネルギー変換を行う光電素子,陰極線管,コンピューター用の記憶素子などがあり,これらの開発,設計を主体とする分野である。ジョセフソン素子などの新しい原理で働くデバイスの開発のほかに,より小型で集積度の高いもの,より高速のもの,より大電力を扱えるものなどが要求されている。

(4)電子回路分野 電子デバイスを組み合わせ,決まった機能をもつ電子回路を設計,製作する分野である。発振回路増幅回路変調回路などのアナログ回路論理回路,ゲート回路,フリップフロップ回路などのディジタル回路がある。半導体素子を高度に集積して,1枚のシリコン結晶の上に構成する集積回路,あるいは1枚の基板の上にマイクロ波回路や光回路を組み込んだマイクロ波集積回路,光集積回路もこの分野の主要な内容の一つである。

(5)電子装置分野 コンピューターに代表されるように,電子回路を組み合わせて作られた装置を研究,開発する分野で,電卓,電子時計,ビデオテープレコーダーなどがある。このほかにレーダー,電子顕微鏡,医用電子装置など多くの分野をカバーしている。

(6)電子システム分野 いくつかの電子装置を組み合わせたシステムを対象とする分野であり,放送システム,通信システム,列車の座席予約システム,銀行の自動支払システム,地域医療システム,学術文献情報システムなど広い地域にまたがるものが多い。

 また,扱う対象により,レーザーなどの光を扱う量子エレクトロニクス,マイクロ波を扱うマイクロ波エレクトロニクス,半導体を扱う半導体エレクトロニクス,サイリスターなどの大電力を扱うパワーエレクトロニクスなどに分類することもある。
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百科事典マイペディア 「エレクトロニクス」の意味・わかりやすい解説

エレクトロニクス

電子工学,電子技術などと訳す。電子の流れを利用した電子管,半導体素子等およびこれらの応用に関する学問。20世紀初めの二極管,三極管の発明により,ラジオ無線通信の技術が発展,第2次大戦後トランジスター,半導体の開発とあいまって,レーダー,テレビ,電子顕微鏡,マイクロ波通信,メーザー,コンピューターなど応用分野の著しい拡大により独立工学としての地位を確立した。物質中の微視的な電子・電磁現象,回路や情報を扱う基礎分野,これに使用する材料の研究,機器およびそれを構成する素子・部品などの高性能化,その適切な組合せ,応用などを研究する分野などがこれに含まれる。集積回路の成功,ミリ波の開発などにより,その発展はさらに拡大されつつあり,電気信号を用いての論理的演算・処理,情報の交換・蓄積などは,今日の科学技術において先導的役割を果たすもの。これらに関係する産業部門をエレクトロニクス産業とよぶ。
→関連項目エレクトロセラミックスオートメーションオプトエレクトロニクス技術革新高純度金属電気工学日本メディカルエレクトロニクス

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知恵蔵 「エレクトロニクス」の解説

エレクトロニクス

電子の性質を利用する技術をまとめてこう呼ぶ。日本語では電子工学の用語を当てる。広義には、真空内または固体内で電子が示す現象を直接利用する各種の電子部品(電子管、半導体、磁性体、誘電体などを用いた素子や部品)とそれに関連する技術、それらの部品を応用するシステムや機器(コンピューター、通信機器、テレビ、VTRなど)とその技術をすべて含む。狭義には、電子部品や素子と、それに関する技術のみを指すことが多い。

(荒川泰彦 東京大学教授 / 桜井貴康 東京大学教授 / 2007年)

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