エンコミエンダ制(読み)エンコミエンダセイ(英語表記)Encomienda

デジタル大辞泉 「エンコミエンダ制」の意味・読み・例文・類語

エンコミエンダ‐せい【エンコミエンダ制】

16世紀から18世紀半ばにかけて、中南米のスペイン植民地で実施された封建的土地支配制度

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「エンコミエンダ制」の解説

エンコミエンダ制(エンコミエンダせい)
encomienda

エンコミエンダ起源古く,中世スペインには,強者他者に保護を与え,その服従と奉仕を求める関係を意味し,時代によってさまざまな制度的形態をとった。スペインの初期アメリカ植民地で1503年頃,一種の封建的権利として制度化され,のちフィリピンにも適用された。先住民の教化と保護を条件に,国王が植民者に征服地の住民統治委託する(エンコメンダル=encomendar)という形式をとり,受権者(エンコメンデロ)は,代償として先住民に一定の賦役労働を課すなどの権利を与えられた。しかし,この制度の弊害を強く指摘するドミニコ修道会などの圧力があり,また植民地の直接統治をめざす国王は,その廃止をしばしば試みたが,1540年代に植民者の大反乱を招くなど成功しなかった。エンコミエンダ制は,伝染病流行などによる先住民人口の激減により,16世紀末までに事実上意味を失ったが,形式的には18世紀初頭まで続いた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「エンコミエンダ制」の解説

エンコミエンダ制
エンコミエンダせい
Encomienda

16〜18世紀にラテンアメリカのスペイン領で採用された土地制度
「委託」という意味。はじめスペイン国王は,カトリック布教を条件に,征服者や植民者に征服地の土地・住民の統治をまかせ,植民者は先住民を強制的に労働させた。その後,国王は直接統治を望んで,この制度の廃止を試みたが成功しなかった。

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