オオウラギンヒョウモン(読み)おおうらぎんひょうもん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオウラギンヒョウモン」の意味・わかりやすい解説

オオウラギンヒョウモン
おおうらぎんひょうもん / 大裏銀豹紋蝶
[学] Fabriciana nerippe

昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。アジア東部特産のヒョウモンチョウの1種で、日本では本州、四国、九州の平地から山地草原に産し、第二次世界大戦前はとくにまれな種ではなかったが、戦後は多くの産地で絶滅し、日本産大形ヒョウモンのなかではもっとも少ない種となった。外国では朝鮮半島、中国に分布する。近縁の普通種ウラギンヒョウモンに似ているが、後ろばね裏面外縁の銀紋の形が2山形であること、雄の前ばねの黒色発香鱗条が1本であることによって区別できる。はねの開張70~80ミリメートル程度。年1回発生し、暖地では5月下旬ごろから、寒冷地では7月中旬ごろから発生、草地草花にくるものが多い。幼虫の食草はスミレ類、1齢幼虫で越冬する。

白水 隆]

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「オオウラギンヒョウモン」の解説

オオウラギンヒョウモン
学名:Fabriciana nerippe

種名 / オオウラギンヒョウモン
目名科名 / チョウ目|タテハチョウ科(タテハチョウ類)
解説 / 生息に適した草原がなくなったため、急に数がへっています。夏眠後、秋に産卵します。
体の大きさ / (前ばねの長さ)32~40mm
分布 / 本州、九州
成虫出現期 / 6月に羽化
幼虫の食べ物 / スミレ類

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百科事典マイペディア 「オオウラギンヒョウモン」の意味・わかりやすい解説

オオウラギンヒョウモン

鱗翅(りんし)目タテハチョウ科の1種。草原性で,開帳70〜80mm。1960年代までは各地でふつうに見られたが,その後激減し,現在の日本における生息地は非常に限られる。農業形態の変化によって草原の環境が質的に変わったため,全国的に姿を消したと考えられている。絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。

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世界大百科事典(旧版)内のオオウラギンヒョウモンの言及

【ヒョウモンチョウ(豹紋蝶)】より

…形態,生活史ともよく似ている。日本には大型(開張は最小6cm,最大8cm程度)のものはミドリヒョウモン,メスグロヒョウモン,クモガタヒョウモン,ウラギンヒョウモン,オオウラギンヒョウモン,ウラギンスジヒョウモン,オオウラギンスジヒョウモン,ギンボシヒョウモン,ツマグロヒョウモンの9種が見られる。生息地はすべて山の草原または森林周辺の明るいところで,成虫は花に集まる。…

※「オオウラギンヒョウモン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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