オスプレイ(読み)おすぷれい(その他表記)Osprey

翻訳|Osprey

デジタル大辞泉 「オスプレイ」の意味・読み・例文・類語

オスプレイ(osprey)

タカ科の鳥のミサゴ。オスプリー。
(Osprey)米軍の輸送機の一。主翼の両端に角度が変わる回転翼をもち、ヘリコプターのように垂直離着陸やホバリング、超低空飛行のできる航空機ヘリコプターよりも高速で航続距離が長い。

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共同通信ニュース用語解説 「オスプレイ」の解説

オスプレイ

固定翼機と、ヘリコプターのような回転翼機の特徴を兼ね備える輸送機。ローターの角度を変えて垂直離着陸やホバリングができる。米軍による開発段階から事故やトラブルが相次ぎ、安全性が懸念されている。陸上自衛隊は2025年7月を期限として、17機を千葉県の木更津駐屯地に暫定配備しており、最終的に、建設中の佐賀駐屯地(佐賀市・仮称)に移駐する予定だ。

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知恵蔵 「オスプレイ」の解説

オスプレイ

アメリカ軍の最新鋭輸送機(ティルトローター機)の愛称。米国防省のJVX(統合垂直離着陸機)計画の下、ベル社とボーイング社が開発した。現在、海兵隊用「MV22」と空軍用「CV22」の2機種が製造されている(基本性能は同じ)。初飛行は1989年で、正式配備は2007年。イラクアフガニスタンリビアでの実戦にも投入されている。日本の米軍基地にも、老朽化が指摘されているCH46(輸送用ヘリ)の後継機として配備が計画され、12年7月23日に「MV22」12機が岩国基地(山口県)に搬入された。点検作業等を経たのち、同年10月、「世界一危険な基地」と言われる普天間基地(沖縄県)に移される。今後、更に12機が導入される予定。
オスプレイは、左右の固定翼にそれぞれ回転翼(ローター)を備えている。その角度を97.5度から0度まで(垂直方向から水平方向まで)変えることにより、ヘリのように垂直離着陸や空中停止することも、飛行機のように水平に高速飛行することも可能。また、中間の60~75度で、短距離離着陸 (STOL)もできる。
時速は約500キロメートルで、CH46の2倍近い。航続距離は約3900キロメートルで、CH46の5倍以上。作戦行動半径(人員・物資を搭載して、目的地と往復できる距離)も約600キロメートルで、CH46の約4倍。空中給油も可能で、1回の補給で行動半径は1000キロメートルを超える。これは、沖縄を中心にすると、朝鮮半島、中国大陸東部、南シナ海までを含む範囲。輸送兵員も24人でCH46の2倍、貨物の搭載量も約3倍。飛行高度も最高約7500メートルで、他機からの攻撃も受けにくい。こうした点から政府内では、北朝鮮や中国に対する軍事抑止力としての期待が高まっている。
しかし、ヘリと航空機の「良いとこどり」のシステムは複雑で、操縦にも高度な技術を要する。開発段階から計8回(配備後は4回)も重大事故を起こしており、犠牲者数は36人に及んでいる。米国では「ウィドウ・メーカー」(未亡人製造器)の汚名が付けられ、最近も12年4月にモロッコで、6月に米国フロリダ州で事故を起こしている。いずれも事故原因が解明されておらず、とりわけ基地周辺での安全性が懸念されるが、「海兵隊の資料によると、10万飛行時間当たりのオスプレイの事故率は1.93であり、海兵隊戦闘機の平均2.45と比べて低く、またCH46の1.11とも大差ない」という反論もある。ただし、この数値には、フロリダ州の事故など、多発している空軍用「CV22」機の事故は含まれておらず、また、09年に海兵隊が事故認定の基準を引き上げたこと、事故隠蔽(いんぺい)の疑いも指摘されていることなどから、数値の信憑性(しんぴょうせい)を疑問視する声は強い。なお、「オスプレイ(osprey)」は、タカ科の猛禽(もうきん)類「ミサゴ」の英名。ミサゴは日本では絶滅危惧種に指定されている。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2012年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オスプレイ」の意味・わかりやすい解説

オスプレイ
おすぷれい
Osprey

固定翼機でありながら、垂直に離着陸できるアメリカ軍の主力輸送機V-22の愛称。主翼両端についたローターとエンジン部を、水平方向から垂直方向に動かすことで、ヘリコプターのような垂直離着陸やホバリング機能と、プロペラ飛行機のような航続距離の長い水平高速飛行機能を実現している。このような形式はティルト・ローターとよばれる。アメリカのベル社とボーイング社の共同開発で、初飛行は1989年。愛称は、垂直に降下して餌(えさ)をとる習性のある鳥のミサゴ(osprey)にちなんでいる。全長17.5メートル、全高6.7メートルで、最高速度は、2012年時点でアメリカ軍が保有する輸送用ヘリコプターの約2倍の時速520キロメートルに達する。空中給油などによる最大航続距離は約3900キロメートル。最大収容人数は28人(乗員含む)。アメリカ国防総省は2007年から海兵隊(海兵隊での仕様名称はMV-22)、空軍(空軍での仕様名称はCV-22)、海軍(海軍での仕様名称はHV-22)に実戦配備している。

 日本国内では、離島有事や災害に備え、2012年(平成24)からオスプレイの配備が順次進んでいる。アメリカ国防総省は沖縄県普天間(ふてんま)飛行場に24機を、東京都横田基地に6機(2024年までに10機に増強する計画)を配備。陸上自衛隊も2025年までに、長崎県相浦(あいのうら)駐屯地近くの佐賀空港に17機を配備する計画で、千葉県木更津(きさらづ)駐屯地に9機を暫定配備済みである。ただ、普天間飛行場所属のオスプレイが沖縄県名護(なご)市沖(2016)で、アメリカ海兵隊所属機がオーストラリア東海岸沖(2017)で墜落するなど、開発段階から相次いだ事故が、実戦配備後も続いている。このため配備先の自治体や漁業関係者・地権者などから「安全性に不安がある」として飛行や配備に反対する声が出ている。

[矢野 武 2022年11月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オスプレイ」の意味・わかりやすい解説

オスプレイ

「ベル/ボーイングV-22オスプレイ」のページをご覧ください。

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