オブラドビッチ(英語表記)Dositej Obradović

改訂新版 世界大百科事典 「オブラドビッチ」の意味・わかりやすい解説

オブラドビッチ
Dositej Obradović
生没年:1739?-1811

セルビアの文学者,哲学者,教育者。セルビア最大の啓蒙思想家修道士としてダルマツィア滞在時代(1761-71)に古代文学とビザンティン文化を研究。還俗後ウィーン,パリロンドンなどに滞在し,当時のヨーロッパ最高の知識を学び,解放後のセルビア人教化に役立てた。セルビアの文部大臣を務め,ベオグラードに大学を造るなど多方面に活躍したが,その波乱に富んだ前半生は自伝生涯冒険》(1783,1788)に詳しい。ほかに《寓話集》(1788)がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オブラドビッチ」の意味・わかりやすい解説

オブラドビッチ
おぶらどびっち
Dositej Obradović
(1739/1742?―1811)

セルビアの啓蒙(けいもう)思想家。初代文部大臣。民衆的な口語を用いて作品を書いた最初の作家で、セルビア近代文学の創始者。聖者伝文学にあこがれ、若くして修道僧となるが、やがて新知識を渇望して還俗(げんぞく)、ヨーロッパ諸国を遍歴しながら独学教養を磨いた。18世紀イギリス文学の影響を受け、自伝『人生と冒険』(1783~88)、『寓話(ぐうわ)』(1788)で独自の文体を築いた。

[栗原成郎]

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