日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
オークランド(ニュージーランド)
おーくらんど
Auckland
ニュージーランド北島北部、同国最大の商工業都市。ハウラキ湾の湾奥に位置し、溺(おぼ)れ谷のワイテマタ港とマヌカウ港に挟まれた地峡部に市街地が広がり、多数の火山錐(すい)(スコリア)が散在している。気温は西岸海洋性で、年平均気温15.0℃、年較差8.6℃、年降水量1247ミリメートルで温暖である。人口36万7734、衛星都市を含めた大都市圏の人口は107万4507(2001)。1960年代から市街地の再開発と郊外地域の都市化が進み、北郊のタケプナ、南郊のマヌカウの発展が著しい。北岸へ通じる橋オークランド・ハーバー・ブリッジの拡幅は、その一役を担った。20世紀に入って北島の酪農の発展とともに市も発展し、第二次世界大戦後、工業化が進み、缶詰、機械、繊維、ゴム、セメントなど、あらゆる工業が衛星都市に立地している。コンテナ埠頭(ふとう)も完備したこの国第一の貿易港で、商業、金融の最大の中心地でもある。ウェリントンと特急列車で結ばれ、南郊マンゲレの国際空港へは日本航空の定期便も乗り入れている。南太平洋の陸海空の交通の要衝で、ワイテマタ港北岸のデボンポートには鎮守府が置かれている。1840年、初代総督ウィリアム・ホブソンにより政庁が置かれ、65年まで首都であった。1871年に市制施行。市名はホブソンの後継者オークランド公にちなむ。オークランド大学(1929創立)、戦争記念博物館、美術館など文教の中心でもある。
[浅黄谷剛寛]