オースティン(John Austin)(読み)おーすてぃん(英語表記)John Austin

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

オースティン(John Austin)
おーすてぃん
John Austin
(1790―1859)

イギリスの法哲学者。分析法学の創始者として知られる。1826年ロンドン大学の教授就任、ドイツ留学ののち、1828年から法哲学の講座を担当した。J・S・ミルら後世に名を残した人たちが聴講していたが、その講義は一般には難解で不評判であったと伝えられる。1832年失望と経済的理由から退職し、不遇のうちに一生を終えた。その理論は、一方ではドイツ法学の影響を強く受けており、法にとって不可欠の基本的諸概念の徹底的分析を特色とした。このような精緻(せいち)な概念と形式とによってイギリス法を分析し、それに体系的な理論構成を与えた。他方、オースティン理論には、ベンサムの功利主義的法思想の継承という面もあり、自然法理論への挑戦がその基本的立場であった。法の本質に関する彼の命題「法は主権者の命令である」は有名である。主著に『法理学の領域決定』The Province of Jurisprudence Determined(1832)がある。

淡路剛久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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