企業の資金調達において,外部資金とくに金融機関からの借入金に過度に依存する状態をいう。日本では,高度成長期に企業の投資意欲がきわめて旺盛であったため,投資支出は自己資金を大きく上回り,その資金不足の大部分が金融機関借入金によってまかなわれた。これは,第2次大戦後,企業と金融機関とくに銀行との関係が密接になり,借入金による資金調達は起債・増資に比べて企業にとってはるかに容易であり,しかも税制上も有利であることによるものである。こうして企業の資本構成の面では,自己資本の過小,他人資本の過大というアンバランスが著しくなった。この点で企業の財務体質ないし不況抵抗力が弱まるなどの弊害が指摘されるが,銀行のオーバーローンとともに,高度成長期における日本の金融構造の特色の一つになっている。しかし1970年代後半には,企業の投資活動が低調になり,半面,企業収益も漸次好転し,企業金融が緩和してきた。これにともなって,転換社債,株式時価発行,外債発行など資金調達方式が多様化し,金融機関借入依存度は低下してきている。
執筆者:石田 定夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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