オープン・イノベーション(読み)おーぷんいのべーしょん(英語表記)open innovation

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

オープン・イノベーション
おーぷんいのべーしょん
open innovation

企業が研究開発を行う際に、他社が開発した技術を特許ライセンシング(実施許諾)や企業そのものの買収などによって導入することや、他社に自社知的財産権を使わせて、新しい製品等を開発させること。すべての技術を自社で一から開発するより、リスクを軽減することができ、開発期間も短縮できる。技術の独自性が損なわれる危険性がある一方相互に触発されて革新的な技術を生み出す可能性もある。2003年に、ハーバード・ビジネス・スクールのチェスブローHenry William Chesbrough(1957― )助教授(当時)によって提唱された概念

 製薬など、研究開発に膨大な時間と資金がかかる分野では、近年、オープン・イノベーションが推進されている。大手製薬メーカーは、ベンチャー・ビジネスが開発した製薬材料などを企業ごと買収し、薬の開発期間を短縮しようとしている。ベンチャー・ビジネスにとっても研究開発投資を早期に回収することができ、また製品化や販売のリスクを回避することができるため、好都合である。ベンチャー・ビジネスが革新的な研究開発を行い、大企業がその成果を応用して製品化、事業化を行うという役割分担の基盤が、オープン・イノベーションである。

[鹿住倫世]

『ヘンリー・W・チェスブロウ著、大前恵一朗訳『Open Innovation――ハーバード流イノベーション戦略のすべて』(2004・産業能率大学出版部)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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