カラカラ(Caracalla, Marcus Aurelius Antoninus)(読み)からから(英語表記)Caracalla

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

カラカラ(Caracalla, Marcus Aurelius Antoninus)
からから
Caracalla
Marcus Aurelius Antoninus
(188―217)

ローマ皇帝在位211または198~217。211年までは父セプティミウス・セウェルスと共治)。カラカラはあだ名で、彼が213年以後用いたケルト人の衣服にちなむ。弟ゲタとの仲はつねに悪く、211年の父帝の死後いっそう悪化、2人を和解させようとする母ユリア・ドムナの努力もむなしく、212年ついに共同統治者ゲタを殺して単独皇帝となった。同年、帝国内のほとんどすべての自由民にローマ市民権を付与する「アントニヌス勅法」を発布した。その動機はローマ市民に課された相続税の収入を増加させるためで、この発布により共和政期から続いてきたローマ市民権を道具としてローマの領域を支配する方法は完全に捨てられた。ライン、ドナウ、東方に転戦して、217年4月にメソポタミアのカルラエ付近で暗殺された。今日もローマに遺跡として残る巨大な公共浴場(カラカラ浴場)をつくったことでも有名。

[市川雅俊]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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