ドイツの劇作家G・カイザーの三幕戯曲。1914年発表、17年フランクフルト初演。百年戦争中包囲されたカレーの町を救うため6人の市民が犠牲となってイギリス軍に下った史実に基づき、ロダンの同名の群像に触発されて書かれた。名誉や戦争より市民の営為の結実たる港を重くみる点に反戦の意識がみられる。しかし作者の主眼は社会的思想から離れ、もっぱら、多数のために己を滅却する新しい人間像、それへ向かっての個人の倫理的成熟過程を描出することにある。構成の建築学的緊密さ、台詞(せりふ)にあふれる情念、理念を求める激しい熱情のゆえに、この戯曲はカイザーのみならずドイツ表現主義演劇にとっての記念碑的作品となった。
[吉安光徳]
『新関良三訳『カレーの市民』(『近代劇全集9』所収・1927・第一書房)』
外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...
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