カロテン

デジタル大辞泉 「カロテン」の意味・読み・例文・類語

カロテン(carotene/carotin)

ニンジンの根などに含まれる黄色または赤色色素。代表的なカロテノイド。トウガラシ・カボチャや緑茶バターなどにも多く含まれる。動物体内でビタミンAに変わるので、プロビタミンAともよばれる。カロチン
[類語]色素葉緑素クロロフィルメラニン

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「カロテン」の解説

カロテン
カロテン
carotene

α-,β-カロテンやリコペンなどのカロテノイド炭化水素総称.天然に存在するカロテノイド炭化水素の混合物をさすこともある.黄色ないし赤紫色の結晶で,炭化水素系の溶媒に可溶,アルコール類に難溶,水に不溶.クロマトグラフィーにおいてはキサントフィル類より弱く吸着される.主要な4種類のカロテンを次に示す.【】α-カロテン:C40H56(536.85).植物界にβ-カロテンに付随して広く分布しているが,量的には,通常,β-カロテンの1/2以下である.天然物から得られるカロテン混合物から,クロマトグラフィーによって分離する.セリ科のニンジンDaucus carotaやし油などが原料に用いられる.また,動物界にも見いだされる.紫赤色の柱状結晶.融点187~188 ℃(封管中).+385°(ベンゼン).λmax 475,445,420,395 nm(ヘキサン).β-カロテンの約1/2のプロビタミンA作用をもつ.[CAS 7488-99-5]【】β-カロテン:C40H56(536.85).もっとも広く分布し,量的にも多く存在するカロテノイド炭化水素で,植物緑色部,花,果実,根,動物の血液臓器,脂肪,卵,乳などに見いだされる.天然からの単離にはセリ科のニンジンDaucus carota,アカザ科のホウレンソウSpinacia oleracea,やし油などが用いられたが,現在は,工業的に大量に合成されている.暗赤色の板状結晶.融点183 ℃(封管中).λmax 482,450,425 nm(ヘキサン).クロロホルム,ベンゼン,石油ベンジンに可溶,メタノール,エタノールに難溶.もっとも重要なプロビタミンAである.食品,飼料着色ビタミンA作用強化に用いられる.[CAS 7235-40-7]【】γ-カロテン:C40H56(536.85).ニンジンカロテン中に約0.1% 含まれ,そのほか植物の果実や花にしばしば見いだされるが,含有量は非常に少ない.赤色の柱状結晶.融点178 ℃.λmax 494,462,431 nm(ヘキサン).β-カロテンの約1/2のプロビタミンA作用をもつ.[CAS 472-93-5]【】δ-カロテン:C40H56(536.85).ニンジンやトマトなど多くの植物に分布する.朱橙色の柱状晶.融点140.5 ℃.+352°(±16% ヘキサン).[CAS 472-92-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カロテン」の意味・わかりやすい解説

カロテン
carotene

タンポポの花,カボチャやトマトの果実,ニンジン,サツマイモなどに含まれる黄,オレンジ,赤ないし赤紫色の色素で,カロテノイドの炭化水素 (分子式 C40H56 ) 。ベンゼンや石油ベンジンに可溶,メタノールやエタノールに難溶,水に不溶。動物では,脂肪,卵黄,羽毛,貝殻などにみられる。ことに,α-カロテン,β-カロテン,γ-カロテンの3種は異性体で,混合物として存在する場合が多いので,これを単にカロテンということがある。また,カロテンは動物の体内でビタミンAに変えられるが,プロビタミンAとして最も重要なのはβ-カロテンで,1831年にニンジン carrotから初めて単離された。

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栄養・生化学辞典 「カロテン」の解説

カロテン

 C40H56 (mw536.87).カロチンともいう.カロテノイドの一種.植物に広く分布する黄色ないし赤色の色素で多くの化合物がある.β-カロテンは,小腸粘膜でビタミンA(レチナール)に変換されるため,ビタミンA活性がある.緑黄色野菜に含まれる.ヒト血清のβ-カロテンの正常値は40〜200μg/dl

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカロテンの言及

【カロチン】より

カロチノイド色素の中で生物界に最も広く分布する代表的物質。カロテンとも呼ぶ。分子式C40H56を有する炭化水素。…

※「カロテン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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