ガラスの仮面(読み)がらすのかめん

知恵蔵 「ガラスの仮面」の解説

ガラスの仮面

美内すずえによる日本の少女マンガ作品。1976年から97年までは「花とゆめ」(白泉社)で、2008年以降は「別冊花とゆめ」(同)で連載中。14年8月までに49巻の単行本、26巻の文庫本が発刊され、累計発行部数は5千万部を超えた。第24回(95年度)日本漫画家協会賞優秀賞受賞。
貧しい家庭に育った主人公の北島マヤは、往年の大女優である月影千草に見いだされ、彼女が旗揚げした「劇団つきかげ」の奨学生として指導を受けて頭角を現していく。月影は、かつて自身が主演した舞台「紅天女」の上演権を持ったまま引退し、自身の後継者を探していたのだった。マヤは、劇団の存続の危機、母の死など様々な試練やいじめなどを受けながらも役者として成長していく。一方、有名映画監督を父に大女優を母に持つ女優、姫川亜弓とのライバル物語や、「劇団つきかげ」と敵対する大都芸能社長の速水真澄との恋愛模様も、ドラマを盛り上げる。
再三にわたって舞台化され、マヤを1979年のミュージカル版では香坂みゆきらが、88年の坂東玉三郎演出による作品では大竹しのぶが、2008年、10年に上演された音楽劇では大和田美帆が演じている。14年8月の舞台はマヤを貫地谷しほり、亜弓をマイコ、月影を一路真輝が演じた。作中でマヤの一人芝居として描かれた「女盗賊ビアンカ」についても07、13年に一般公募による出演者によって舞台化された。
テレビアニメ版は1984年4月から9月までは日本テレビ系で、2005年4月から06年3月まではテレビ東京系で放送され、テレビドラマ版は1997年にテレビ朝日系で安達祐実の主演により放送された。ラジオでは1982年にニッポン放送の「夜のドラマハウス」で放送、ライトノベル化もされている。2006年には劇中の架空の戯曲「紅天女」を基にした新作能が、美内すずえの監修により制作・上演された。少女マンガの金字塔として息の長いファンを獲得しており、登場人物が白眼になる表現がパロディー化されるなど話題を集める作品である。

(若林朋子 ライター/2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉プラス 「ガラスの仮面」の解説

ガラスの仮面

①美内すずえによる漫画作品。平凡な一人の少女が演劇才能を開花させ、成長していく姿を描く。『花とゆめ』1976年第1号~1997年第20号、『別冊花とゆめ』2008年9月号より連載。第24回(1995年度)日本漫画家協会賞 優秀賞受賞。舞台化作品なども多数ある。
②①を原作とした日本のテレビアニメ。放映は日本テレビ系列(1984年4月~9月)。制作:エイケン。平凡な少女が天才女優として開花していく様を描く。2005~2006年に新作が放映された。
③①を原作とした日本のテレビアニメ。放映はテレビ東京系列(2005年4月~2006年3月)。制作:トムス・エンタテインメント。1984年放映の前作に次ぐ2度目のアニメ化作品。
④①を原作とした日本のテレビドラマ。放映はテレビ朝日系列(1997年7月~9月)。全11回。出演:安達祐実、田辺誠一、松本恵、野際陽子ほか。舞台女優を目指すヒロインの成長を描く。
⑤韓国のテレビドラマ。2012年9月放映開始。①を翻案、ドラマ化した作品。出演は、ソウ、イ・ゴン、パク・ジヌほか。

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