改訂新版 世界大百科事典 「ガラン」の意味・わかりやすい解説
ガラン
Antoine Galland
生没年:1646-1715
フランスの古銭学者,東洋学者。ルイ14世の任命でコンスタンティノープル(現,イスタンブール)に赴任する大使の随員となってトルコに行き,小アジア,パレスティナ,メソポタミア,エジプト,ギリシア等を5年間にわたり調査した。一時パリに戻り王立図書館古銭部に入ったが,再び1679年コルベールの命でド・ギュイラーグ新大使に随行してギリシアからトルコに入り,88年まで滞在し《メルキュール・ド・フランス》誌に〈コンスタンティノープル通信〉をたびたび寄稿した。1702年アカデミー・デ・ザンスクリプション会員となったガランは膨大な古銭学辞典を作り始める一方,ド・ギュイラーグの娘のために〈船乗りシンドバッド〉を訳し始めたが,印刷直前にこれが一大物語群《千夜一夜物語》の一部であることを知って印刷を延期,諸方に写本を求め,シリアからの写本により04年から出版し始めた。彼の没後も翻訳の出版は続けられ,17年に全12巻が完結。以後ヨーロッパ中で各国語に訳された。こうして彼はギリシア考古学の基礎を築いた学者としてより,《千夜一夜物語》の訳者として知られるようになった。
執筆者:松原 秀一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報