キルサーノフ(英語表記)Semyon Isaakovich Kirsanov

改訂新版 世界大百科事典 「キルサーノフ」の意味・わかりやすい解説

キルサーノフ
Semyon Isaakovich Kirsanov
生没年:1906-72

ソ連邦詩人オデッサに生まれ,早くから詩を書きはじめるが,18歳のときにマヤコフスキーに会い,強い影響を受け,この詩人の模倣者となる。マヤコフスキーの主宰する〈レフ芸術左翼戦線)〉に加わり,幻想的で物語性に富み,言葉の遊びを含むユニークな詩集照準》(1926)や《経験》(1927)で注目された。30年代以降,ソビエト社会の要請に応じて社会主義建設を賛美し,ファシズム戦争に反対する主題を抒情的なモティーフと重ねた作品を書きつづけた。代表作に《五ヵ年計画》(1932),《同志マルクス》(1933),《前線叙事詩》(1941),《マカール・マザイ》(1950,スターリン賞受賞)などがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キルサーノフ」の意味・わかりやすい解説

キルサーノフ
きるさーのふ
Семён Исаакович Кирсанов/Semyon Isaakovich Kirsanov
(1906―1972)

ソ連の詩人。マヤコフスキーらの雑誌『レフ』に参加。作風はマヤコフスキーと未来派の影響が著しいが、明るい幻想性とメルヘン的な構成特色がある。詩集は『照準』(1926)、『経験』(1927)、『同志マルクス』(1933)、『シンデレラ』(1936)、『夢の中の呻(うめ)き』(1937)、『希望峰』(1938)、『アレクサンドル・マトロソフ』(1946)、『マカール・マザイ』(1950)など。

[小笠原豊樹]

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