出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
スイス生まれの金属学者、物理学者。1883年にフランスの国際度量衡局に就職、1915年同局長となる。初め、水銀温度計の精度やリットル容積の精密な決定の研究をしたが、1890年よりニッケル合金の研究に没頭し、熱膨張率の異常に小さいアンバー(インバーともいう。ニッケル36%、残りは鉄)を発見、続いて弾性率が温度変化に対して安定なエリンバーを発見した。これらの合金は時計のてんぷやひげぜんまいをはじめ、多種の科学計測機器に応用され、それらの精度は著しく改善された。これらの業績により、1920年ノーベル物理学賞を受賞した。なお、アンバーの発見は、その後、合金の応用や金属物理学上に波紋を広げ、アンバー効果の機構については、磁性、結晶学、金属電子論などの面から、いまなお研究が進められている。
[今野 宏]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…エランバーともいう。室温付近での温度変化に対してヤング率がほぼ一定である性質(エリンバー効果)をもっている,Feを主とし,Ni≌36%,Cr≌12%,Mn1~2%の合金。普通の金属・合金はヤング率が温度上昇に伴って小さくなるので(温度係数は10-4/℃程度),ばね特性を利用する精密機器や標準の振動子への使用には不適当である。このため,これらの機器のばねにはエリンバーが用いられる。フランスのギヨームC.E.Guillaumeがインバーの研究中にヤング率の温度変化が0になるFe‐Niの組成を発見,合金名はelastic invariableから名づけられた。…
…その業務は,設立当初は長さと質量の国際原器を保管し,各国原器の検査を行うことおよびそれに関連する諸研究に限られていたが,1921年の条約改訂以後,電気,測光および電離性放射線の標準器やおもな物理量の目盛を維持し,かつ業務に関係する物理定数に関し測定と調整を行うよう拡張された。歴史的な業績としては,標準供給という本来の業務のほかに,ギヨームC.É.Guillaumeによるインバーの発見,マイケルソンA.A.MichelsonやファブリC.FabryとペローA.Perotによる光波干渉標準器の研究,佐久間晃彦による重力の絶対測定などがあり,測地学実験室内の地点Aは72年以降〈国際統一重力測定網〉の起点に選ばれている。国際度量衡局の業務の遂行はもっぱら国際度量衡委員会Comité International des Poids et Mesuresの指揮監督を受けて行われる。…
…そのほか,ヒエロン2世の王冠の金の純度を見分けた有名な逸話と関係のある〈アルキメデスの原理〉の発見(《浮体について》)や,大数の呼名を体系化する(《砂粒を数えるもの》)など,アルキメデスの研究の特色は,理論と実際との結合を目ざしていることであろう。 こうしたアルキメデスの研究は,中世初期のラテン世界では,二,三の基本的な著作の翻訳がなされただけであったが,1269年にムールベカのギヨームによりほとんどの作品がラテン訳され,以後西欧の学者に大きな影響を与えることになった。たとえば,1543年にこのギヨームの訳がタルターリアによって印刷され,それがガリレイの力学研究の出発点になったことは有名である。…
…光学への関心はこのころめばえたらしい。ビテルボ教皇庁での知人のムールベーカのギヨームに献呈された主著《光学》全10巻は73年ころに完成されたと推定される。グロステストやR.ベーコンの影響を受け,光学を自然学の基礎とみなした。…
※「ギヨーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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