日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クライン(Franz Kline)
くらいん
Franz Kline
(1910―1962)
アメリカの画家。抽象表現主義に属する。ペンシルベニア州ウィルキス・ベールに生まれる。フィラデルフィアのジラード大学、ボストン大学で絵画を学ぶ。1937年より1年間ロンドンのヒースリーズ・アート・スクールに留学。30年代、40年代は肖像画、都市の景観を描く一方、後年の作風の基礎となる即興的表現の実験を行う。50年代、白と黒の線を画面に走らせる絵画によって自己の作風を確立する。このカリグラフィックな技法と表現力については東洋の書の影響が指摘されたが、クライン自身はこれを否定している。50年代の後半には白・黒の無彩色に赤・緑などの色彩が加わる作品を描いた。ニューヨークで没。
[藤枝晃雄]