クワコナコバチ(読み)くわこなこばち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クワコナコバチ」の意味・わかりやすい解説

クワコナコバチ
くわこなこばち / 桑粉小蜂
[学] Pseudaphycus malinus

節足動物門昆虫綱膜翅(まくし)目トビコバチ科に属する昆虫。正式の和名はクワコナカイガラヤドリコバチ(桑粉介殻寄生小蜂)であるが、第二次世界大戦後、製薬会社が本種を人工的に大量増殖し、「クワコナコバチ」という名前で市販した。これが日本における初めての生物農薬となった。しかし、人工飼育のコスト高から採算がとれないため、1972年(昭和47)に販売を中止した。ナシリンゴの害虫クワコナカイガラムシに寄生して、これを殺す重要な天敵。日本が原産地であるが、アメリカや旧ソ連諸国にも産する。雌雄とも体長0.9ミリメートル前後で、体は暗褐黄色。触角は10節からなり、棍棒(こんぼう)状部は白色で、ほかは黒褐色。1年に数世代を繰り返し、多寄生である。

[立川哲三郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android