グアテマラ和平(読み)ぐあてまらわへい

知恵蔵 「グアテマラ和平」の解説

グアテマラ和平

36年間にわたった中米グアテマラの内戦は1996年12月、左翼ゲリラの統一組織グアテマラ民族革命連合(URNG)と政府が包括和平協定に調印し終結した。URNGは政治的、経済的に抑圧されてきた先住民を主体に、伝統的な白人支配を覆そうと北部山岳地帯を拠点に武装闘争をした。60年に開始した内戦で死者と行方不明者は約20万人にのぼる。軍や右翼による先住民や農民の大量虐殺が問題となった。2000年8月には内戦後初の大統領選挙で当選した右派の共和戦線のポルティジョが内戦中の政府軍による市民の大量虐殺と国の責任を認め、加害者の処分や被害者への賠償を約束した。しかし約束は履行されていない。03年11月の大統領選挙には内戦時代の虐殺の責任者で独裁者だったリオス・モントが立候補したが敗れ、平和な時代への移行を印象づけた。04年1月に大統領に就任したベルシェは先住民の人権活動家リゴベルタ・メンチュを入閣させ、国民和解の姿勢を示した。07年11月の大統領選挙では中道左派コロンが当選し、右派が主導してきた同国の変化を印象付けた。

(伊藤千尋 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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