グラフィックプロセッサー(読み)ぐらふぃっくぷろせっさー

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

グラフィックプロセッサー
ぐらふぃっくぷろせっさー

コンピュータの画像描画処理を担当する集積回路GPUGraphics Processing Unit)ともよばれる。

 1980年代までのグラフィックプロセッサーは矩形(くけい)などの単純な図形の描画を高速化するものであった。その後、1990年代からパーソナルコンピュータにおけるグラフィカル・ユーザー・インターフェースGraphical User Interface(GUI)の普及に伴い、GUI用の画像処理を高速化するグラフィックプロセッサーが広く普及するようになった。さらに、1990年代中ごろに三次元グラフィクス描画機能をもつグラフィックプロセッサーがパーソナルコンピュータ用に登場した。これをきっかけに、三次元コンピュータ・グラフィクスを駆使したコンピュータゲームが開発され、また逆にこれらゲームにおける高度な表現を可能とするために、高い演算処理能力をもつグラフィックプロセッサーの開発が急速に進められた。さらに2000年代になると、さまざまな表現を高速で柔軟に実現するためプログラム可能なグラフィックプロセッサーが登場するようになった。

 現在のグラフィックプロセッサーは単純な演算処理能力のみをみればマイクロプロセッサーを大きく超えており、この高い演算処理能力をコンピュータ・グラフィクス以外の市況分析、天体シミュレーション、暗号解読といったさまざまな分野に活用するGPGPU(General Purpose GPU。GPUによる汎目的計算)という取組みが広く行われている。

 一方、近年は携帯電話や携帯ゲーム機など小型機器にも高い表現力が求められるようになり、パーソナルコンピュータと同様に三次元コンピュータ・グラフィクスの描画機能をもつ携帯機器用のグラフィックプロセッサーがこれら携帯機器に搭載されるようになった。

[木村啓二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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