コンパクト・シティ(読み)こんぱくとしてぃ

知恵蔵 「コンパクト・シティ」の解説

コンパクト・シティ

都市計画や街づくりの理念、あり方を示す概念。住宅、職場、店舗、病院など、生活に必要な機能を中心部に集めることで、マイカーに頼らず、公共交通機関や徒歩で暮らせる街にする。新興住宅地や大型店を郊外につくる開発パターンが、「シャッター通り」をつくり、自動車を持たない高齢者を孤立させている現状を見直す試みで、上下水道や道路などのコストを抑える効果もある。 1970年代に米国で唱えられ、90年代に欧州連合(EU)が持続可能な都市づくりの好例として推進。公共交通網を設けたり、郊外の開発を抑えたりした結果、衰退しかけた街の中心部が再生した事例も多い。日本の先進例の1つの青森市では2001年、JR青森駅前に図書館や生鮮市場、ファッション店舗、ホールなどが入った複合施設がオープン。民間マンションや市営住宅、ケア付きの高齢者対応マンションも完成するなど、暮らしの「まちなか回帰」が始まっている。除雪費用を減らす効果も上がっている。

(坪井ゆづる 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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