改訂新版 世界大百科事典 「コールサック」の意味・わかりやすい解説
コールサック
Coalsack dark cloud
みなみじゅうじ座にある暗黒星雲。石炭袋とも呼ばれる。星間空間には一辺100mの箱の中に平均1個程度の星間塵がある。その大きさは0.1μm程度である。星間塵の密度が高くなると,後の星の光を弱めて隠してしまう場合がある。そのような場合を暗黒星雲と呼んでいる。コールサックでは,中央部では20等級以上の減光をするので,星はまったく見えない。このような高密度のところでは,10Kという低温で星間分子が多く観測されている。このような低温のガスと星間塵の混合体には,部分的に密度の高いところや低いところがある。そして,まわりの星間空間からの作用があると,密度の高い部分が収縮を始めて,ついにはその内部で星の誕生が始まる。コールサックでも将来の星の誕生を示す密度の高い部分が,電波観測によって見つかっている。なお,はくちょう座(北十字)にある暗黒星雲を類似的にコールサックと呼ぶことがあり,両者を区別するためみなみじゅうじ座のものを〈南のコールサック〉,はくちょう座のものを〈北のコールサック〉ということがある。
執筆者:磯部 琇三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報