デジタル大辞泉 「サイクロン」の意味・読み・例文・類語
サイクロン(cyclone)
2 流体を旋回させ、遠心力と重力を利用して、流体中の固体微粒子を分離する装置。鉱物粒子と水との分離や、空気中の
[類語]風・雨風・波風・風浪・風雪・風雨・無風・微風・そよ風・軟風・強風・突風・烈風・疾風・はやて・大風・颶風・暴風・爆風・ストーム・台風・ハリケーン・神風・砂嵐・つむじ風・旋風・竜巻・トルネード・追い風・順風・向かい風・逆風・横風・朝風・夕風・夜風・春一番・
翻訳|cyclone
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
(1)遠心力を利用して粒子懸濁流体中から固体粒子を分離する装置で,乾式処理用と湿式処理用とがある。普通のサイクロンは円筒部と円錐部からなり,原料粒子(フィード)は空気,水などの流体に伴って円筒部に設けられた流入口から接線方向に流入する。円筒部に流入した流体は高速の旋回流となって円錐部へ流れ,その間に流体内に混入していた粗い粒子は遠心力によって円錐壁へ向かって分級され,円錐の先端部にある排出口(アンダーフローノズル,スピゴット)から分離・排出される。流体の大部分と微細粒子は旋回しながら遠心力に逆らって円錐の中心部へ押しやられ,円筒部の中心にある内筒(オーバーフローファインダー)から排出される。
乾式のサイクロンは分級機よりはむしろ集塵(しゆうじん)機として使われることが多く,ふつうオーバーフローファインダーに連結された送風機により吸引される形で運転される。スピゴットからは気流から分離された粉体が回収される。円筒部直径20~60cmの乾式サイクロンでは数十μmまでの粒子を分離・捕集することができる。直径数cmの小型サイクロンは処理能力は小さいが,数μmまでの粒子を気流から分離し,捕捉することができる。
湿式のサイクロンはハイドロサイクロンhydrocycloneと呼ばれ,選鉱工場などにおいて,分級はもとより,比重選別,固液分離などの目的でも広く使われている。ボールミルと組み合わせて粉砕回路での分級作業に使われるのはその一例である。分級粒度はふつう10~200μm程度であるが,円筒部内径1cm程度の小さなハイドロサイクロンでは,2~5μmくらいの分級も可能である。乾式・湿式の別を問わず,極小型のサイクロンは処理能力を高めるために多数のユニットを一体構造として製作されるものが多く,このような集積化されたサイクロンはマルチクロンmulticloneなどの名で呼ばれる。
サイクロンは可動部がなく,ごく簡単な構造の装置であるが,流体の通過速度が高いため,寸法の割にはきわめて大きい処理能力をもつ特徴が買われ,鉱業,化学工業,食品工業などの諸分野で広く使われている。
(2)気象用語で,低気圧のことをいう。
→台風
執筆者:神保 元二+井上 外志雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
気体中に含まれる固体微粒子を遠心力によって分離捕集する装置.気体に回転運動を与え,それとともに回転する微粒子の遠心力を利用して分離する装置で,重力の数百倍に及ぶ遠心力がはたらき分離作用をするため,重力沈降に比べて小さな設備で高性能が得られる.接線形と軸流形とがあり,粒子の密度にもよるが,直径10 μm またはそれ以下の粒子の捕そくも可能である.一般に,微細粒子の捕そくにはサイクロンの直径を小さくすればよいが,処理量が減少する.このため,サイクロンを数個並列にしたものや,多段直列型が用いられる.気体中に分散した液滴の捕集や,液体中の固体粒子の分離捕集を行う液体サイクロンもある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…低気圧の単純な定義は気圧分布にもとづくもので,周囲に比べて最も気圧の低いところを中心にして,ほぼ楕円形の等圧線でかこまれた領域をさしている。発達した低気圧ほど,この楕円形の等圧線の数が多い。低気圧は一般的にはあらしの現象をさすもので,人々はあらしの際の風向きの変化,雲や雨の現れ方,気温の変化,気圧の大きな低下などを知った。こうした要素的な事柄は天気図によって総合され,特徴的な三次元構造をもつ数千kmにおよぶ一つの組織として低気圧の概念ができている。…
…ボイラー排ガスなどでは,この洗浄方法で脱硫を行うと同時に集塵も行う。(5)もっと粗い粒子の捕集には,単に沈降室で重力によって粒子を沈降分離する方法,あるいは気流に旋回流を与えて粉塵を遠心作用によって分離するサイクロンなどが用いられる。これらは当然捕集効率は低いが,高温その他広い条件での使用が可能である点に特徴がある。…
※「サイクロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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