サイード

デジタル大辞泉 「サイード」の意味・読み・例文・類語

サイード(Edward William Said)

[1935~2003]パレスチナ出身の米国批評家・文学研究者。コロンビア大教授。1978年発表の著作オリエンタリズム」では、西欧中心の中東・アジア観を指摘・批判した。他に「世界テキスト・批評家」「文化帝国主義」など。

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百科事典マイペディア 「サイード」の意味・わかりやすい解説

サイード

パレスティナ出身の米国の批評家。コロンビア大学比較文学教授。コンラッドの研究者ならびに現代フランスの批評理論の紹介者として出発,《オリエンタリズム》(1978年)でオリエントアラブ世界)を捏造する言説を歴史的に概観・批判し,現代のポスト・コロニアル批評の震源地となる。またイスラエルならびに欧米のパレスティナ政策と報道を批判し,言説の文化的役割,知識人のあり方を追求。《始まりの現象》(1975年),《イスラム報道》(1981年),《世界・テキスト・批評家》(1983年),《パレスチナとは何か》(1986年),《文化と帝国主義》(1993年),《知識人とは何か》(1994年)のほか,音楽論《音楽のエラボレーション》(1991年),自伝《遠い場所の記憶》(1999年)。
→関連項目オリエンタリズムポストコロニアリズム

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大学事典 「サイード」の解説

サイード
Edward W.

エルサレムキリスト教徒のパレスチナ人として生まれ,アメリカ合衆国で活躍した文学研究者,文学批評家。コロンビア大学で英文学・比較文学を教える。また,学問の枠をこえて,パレスチナ問題に関しても積極的に発言を行い,言説の役割や知識人のあり方を追究した。『オリエンタリズム』(1978年)で「東洋」に対する「西洋」からの植民地主義的なまなざし,観念を批判し,ポストコロニアリズム論を主導する。イギリスBBC放送向けに行われた講演をまとめた『知識人とは何か』(1994年)では,亡命者にして周辺的存在であり,またアマチュアであり,さらには権力に対して真実を語ろうとする言葉の使い手としての「知識人」の社会的な意味を論じた。これは彼自身の発言や行動に裏打ちされたものであり,1999年にはユダヤ系指揮者D. バレンボイムとともに,イスラエルとアラブ諸国の双方から若い音楽家を集めたウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団を創設してもいる。
著者: 白鳥義彦

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