日本大百科全書(ニッポニカ) 「サザン・アルプス」の意味・わかりやすい解説
サザン・アルプス
さざんあるぷす
Southern Alps
ニュージーランド南島の中西部に位置する山脈。第三紀末以来のカイコウラKaikoura造山運動によって形成された褶曲(しゅうきょく)山脈が、その後、断層運動などで変動を受けたもので、地質はおもにグレワキgreywackeとよばれる硬砂岩で構成されている。中心部には最高峰クック山(3764メートル)をはじめ、タスマン山、アスピリン山など3000メートル級の高山が並び、周辺部でも1500メートル内外の高度がある。偏西風の影響で、年間3000ミリメートル以上の降水量があり、これが高山のために万年雪と氷河になる。西斜面ではフランツ・ジョセフ、フォックスなどの氷河が、標高200メートル付近まで下がり、東側では最大のタスマン氷河などが、標高700メートル付近まで下りている。周辺はカール、モレーン(堆石(たいせき))、氷食湖などの氷河地形に富み、南西部ではフィヨルドランドの峡湾をつくっている。融水は発電に利用され、ニュージーランド最大の電源地帯となっている。
[浅黄谷剛寛]