サマック政権(読み)さまっくせいけん

知恵蔵 「サマック政権」の解説

サマック政権

タイで2006年9月のクーデタータクシン政権を倒して成立した政権は、ソンティ陸軍司令官らが率いる国家安全保障評議会による軍政だった。元陸軍司令官のスラユットが同年10月、首相に就任し憲法改正に着手、07年7月に新憲法を制定、翌8月に国民投票を実施した。ソンティ司令官は同年9月司令官と国家安全保障評議会議長を退任し治安担当の副首相に就任しタクシン派の動きににらみをきかせた。しかしながら、スラユット政権は経済政策に一貫性を欠き経済の停滞をもたらしただけでなく、南部タイのイスラム過激派対策でも成果を上げられず、クーデターを支持した中間層を含め国民の多くが失望した。新憲法下で実施された総選挙(07年12月)では旧愛国党議員を中心としたタクシン派の国民の力党(PPP)が第一党となり、同党を中心とする連立政権が08年2月に発足した。新首相には国民の力党首で「タクシンの代理人」を公言するサマックが就任、旧タクシン派の復活を印象づけた。サマックは1970年代に政界入りし、内相や副首相などを歴任、00年には過去最高得票でバンコク知事に選出された実力者。

(片山裕 神戸大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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